足場の安全管理、KY活動と点検で実際に見る3つの視点
組んだばかりの足場の手すりを、あとから増し締めしたことがある。緊結部が緩んでいたわけではなく、念のためだった。この「念のため」を毎日積み重ねる仕組みが、足場の安全管理の中身だと思っている。
「足場の安全管理」とは、何をすることか
足場工事における安全管理と聞くと、ヘルメットや安全帯の着用を思い浮かべる人が多いかもしれない。もちろんそれも大事だが、現場で本当に効いてくるのは、事故が起きる前の段階での確認作業の方だ。
足場からの墜落・転落事故の多くは、手すりの緊結不足や作業床のすき間、資材の仮置きによる通路の狭さなど、組み立て直後には見つけにくい小さな不備から起きる。安全管理とは、この小さな不備を毎日拾い上げる作業だと言い換えてもいい。
私たちが柱に据えているのは、作業前のKY(危険予知)活動と、組立て中・組立て後の現場巡回チェックという2つの取り組みだ。どちらか片方だけでは不十分で、両方をセットで回して初めて機能する。
なぜKY活動と巡回チェックの両方が必要なのか
KY活動は、作業を始める前に「今日はここで何が起こりうるか」を職人自身の言葉で確認する時間だ。天候や現場の状況はその日ごとに違うため、マニュアルを読み上げるだけでは意味がない。前日と同じ現場でも、資材の搬入があった翌朝は通路の状況が変わっている、といったことは普通に起こる。
一方で、巡回チェックは、KY活動で想定しきれなかった部分や、作業の途中で発生した変化を拾うための仕組みだ。作業に集中していると、自分が組んだ足場のゆるみには意外と気づきにくい。だからこそ、担当者以外の目で見る巡回が要る。
この2つは役割が違う。KY活動が「起こる前に想像する」作業だとすれば、巡回チェックは「起きかけていることを見つける」作業になる。どちらか一方に頼ると、想像の外側で起きる事故や、想像はしていたが確認を怠った事故のどちらかを防ぎきれない。
もうひとつ大事なのは、この2つを「やった記録を残す」ことだ。口頭で確認して終わりにすると、次の日には内容を忘れてしまう。私たちは、KY活動で出た懸念点と、巡回チェックで見つけた指摘事項を簡単な記録に残し、翌日の朝礼で前日の内容を振り返るようにしている。同じ指摘が繰り返し出る箇所があれば、それは仕組み自体を見直すサインだと考えている。
現場ごとの安全管理の進め方について、具体的な流れを知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
安全管理の取り組みについて相談する現場で実際に確認しているポイント
巡回チェックで見ているのは、大きく分けて3つある。ひとつは手すりと幅木の設置状況。墜落防止の要になる部分なので、緊結金具を目視だけでなく手で揺らして確認する。ふたつめは作業床のすき間や段差。資材を運ぶ動線上にすき間があると、つまずきや転落のリスクが上がる。
3つめは、足場の周辺環境の変化だ。強風のあとや大雨のあと、あるいは近くで別の工事が入ったあとは、想定していなかった負荷がかかっていないかを重点的に見る。実際、台風の翌朝に養生シートがめくれて資材に接触しそうになっていたことがあり、それ以来、荒天のあとは通常より早めに巡回するようにしている。
正直、すべての不備を毎回完璧に見つけられているとは言い切れない。だからこそ、KY活動と巡回チェックを一人の判断に頼らず、複数の目で重ねて確認する体制にしている。
資材の仮置き場所も、見落とされがちなポイントのひとつだ。通路として確保していたはずの場所に、別の職種の資材が一時的に置かれていることがある。誰が悪いという話ではなく、複数の業者が同じ現場に出入りする以上、起こり得ることだと捉えている。だからこそ、巡回のたびに「今日の通路は今日の状態で見る」という姿勢を崩さないようにしている。
よくある誤解、「組んだら終わり」ではない
発注する側からよく聞かれるのが「足場は組み立てが済めば、あとは工事が終わるまでそのままで大丈夫ですよね」という言葉だ。これは半分正しくて、半分誤解でもある。
足場は建てて終わりの構造物ではなく、工期の間ずっと稼働している設備に近い。天候や周辺工事、資材の搬出入によって、組んだときとは違う状態に少しずつ変化していく。だから、組立て後の点検を1回で終わらせず、工期を通じて続けることが前提になる。
もうひとつの誤解は「事故は運が悪ければ起きるもの」という感覚だ。もちろんゼロにできるとは言い切れないが、多くの事故は、小さな不備を見過ごした結果として起きている。運ではなく、確認の頻度と精度の問題だと捉えている。
事故を減らすために、次にできること
発注する側の立場でも、できることはある。足場を使う工程の担当者から「ここが少し使いにくい」という声が出たら、我慢せずに施工会社に伝えてほしい。使いにくさは、しばしば安全上のリスクと表裏一体だ。
また、業者を選ぶ段階で、KY活動や巡回チェックをどのくらいの頻度で行っているかを具体的に聞いてみるのもいい。答えがあいまいなら、それは仕組みとして根付いていない証拠かもしれない。足場工事業者を選ぶときに見るべき視点は、別の記事でも整理している。
もし過去に足場周りでヒヤリとした経験があるなら、それを次の現場で施工会社に共有してほしい。似たような条件の現場では、同じ種類のリスクが再現されやすい。発注する側と施工する側、双方が持っている情報を出し合うことで、事故ゼロに近づく確率は上がっていくと感じている。
私たち光翔工業は、KY活動と現場巡回チェックの徹底によって、事故ゼロを目指す安全管理を続けている。まだ改善できる部分もあると思っているが、少なくとも「確認を怠らない」という姿勢だけは崩さずにやっていきたい。詳しい取り組みや会社の概要は光翔工業のトップページでも紹介している。ほかのコラムはブログ一覧から見てもらえる。
よくある質問
KY活動とは具体的に何をするのですか?
作業を始める前に、その日の作業内容ごとに「どこで、どんな危険が起こりうるか」を職人同士で声に出して確認する活動です。危険を予知(Kiken Yochi)することから、現場ではKY活動と呼ばれています。
足場の点検はどのくらいの頻度で行うべきですか?
組立て直後の点検に加えて、強風や大雨のあと、そして作業中も日々の巡回でゆるみや破損がないか確認するのが基本です。使用期間が長い現場ほど、定期的な確認を欠かさないことが重要になります。
安全管理がしっかりした業者かどうかは、どこで見分けられますか?
朝礼やKY活動を毎日行っているか、巡回チェックの頻度や記録の仕方を具体的に説明できるかを聞いてみるのがおすすめです。抽象的な「気をつけています」という答えしか返ってこない場合は、仕組みとして定着していない可能性があります。
安全管理の考え方や、現場での具体的な取り組みについて聞きたいことがあれば、気軽にご相談ください。
仮設・足場工事のご依頼・現場のご相談・お見積もりはお気軽にお問い合わせください。